【読書録】建築学生におすすめの本を紹介してみます

夏休み、いかがお過ごしでしょうか?

建築学生ってホントにいろんな種類の本を読む機会(読まなくてはいけない機会)が多いように思います。にもかかわらずあまり時間はない。。。

あるあるとしては、リサーチや自分の興味目的で買った本が半分くらい読んだまま山積みになってしまうことですよね。長期休暇でだらだら趣味半分に消化するのも含めてあるある。

今回は僕が読んだなかで特によかったおすすめの建築系の書籍を紹介していきます!

 

完全に独断と偏見ですがよければこの機に一冊手に取ってみてはいかがでしょうか。

ITはあんまり関係ない本が並びますが、ではいきます。



はじめに

「おすすめの本」といっても建築に携わる人って様々な目的をもって本を手に取るものだと思います。なので以下へ大雑把に分類してみます。

①教科書的な書籍

建築士試験受験のための問題集や講義で使う教科書、法規集のような、建築に関して工学として網羅的に紹介している書籍。

②作品集、図面集

「a+u」や「住宅特集」のような建築雑誌や、有名建築家の作品集など。個々人の好みで購読する雑誌、参考にする図面が分かれます

③建築思想、対談集などその他

最も好みがわかれる範囲だと思います…が!今回記事として紹介していくのは主にここにあたる書籍です。ゆえに独断と偏見。

 

なので、この記事はAmazonのブックレビューみたいに読んでいただければと思っています。

それでは紹介していきます。

現代住宅研究 2004年塚本由晴+西沢大良

 

②作品集、図面集的

読みやすさ★★★★★

おすすめ度★★★★★

この書籍は塚本由晴さん、西沢大良さんによる戦後以降の日本の住宅の研究を紹介したもので、最大のポイントは網羅性とわかりやすさにあります。

レイアウトは上半分に図面、下に紹介文といった形なんですが、なんとトータル500ページ弱もあります。しかも全34章に住宅を区分/類型化してくれています(たとえば1章が混構造、2章が配置、3章で斜面、といった具合)。いうならば住宅辞書。章ごとに内容は連続していないので、順番に読むことも、興味のある章だけ読むこともできます。

2376円と安いです。建築雑誌1冊分で名作住宅を網羅・体系化して学べます。

 

陰翳礼讃 1939年谷崎潤一郎

③思想的

読みやすさ★★★★☆

おすすめ度★★★★★

陰翳礼讃(いんえいらいさん)は筆者である谷崎潤一郎の随筆で、まだ電燈がなかった時代の今日と違った美的感覚…生活と自然とが一体化し、暗がりを愛していた日本人の感性について論じたものです。彼は、西洋の文化では部屋を極限まで明るくすることで暗がりを消すことに執着したが、日本では古来よりむしろ陰翳を認めていて、陰りのなかに在る美しさにこそ日本の美意識の真髄があるのだと主張します。文章は比較的読みやすく、読んでいくとその美意識の徹底ぶりに驚かされます。

(扇風機をはじめとした配線の必要な機械機器を日本建築にはどうしても合わないと愚痴をこぼし方と思えば、日本の厠の心地よさについて10ページ以上にわたり論じ始めます。この語り方、着眼点が非常に面白く、納得させられます。)

皆さんも試しに家の電燈を消し、この書を読んでみてはいかがでしょう。読後には世界を見る目が少し変わるかもしれません。

まじで。

 

マニエリスムと近代建築 1981年コーリン・ロウ著 伊藤豊雄+松永安光訳

③ちょっと思想的な論文集

読みやすさ★★☆☆☆

おすすめ度★★★★★

この本へ収録された論文「理想的ヴィラの数学」が発表された1940年代当時、ル=コルビジェ台頭以降の近代建築とそれ以前の建築には断絶がある(=近代建築は漸進的に発展してきたそれまでの建築史と流れを異にしている)とされてきました。しかし筆者であるコーリン・ロウはこの論文にて、ヴィラ=ロトンダ(パラディオ、ルネサンス期)とヴィラ=サヴォア(コルビジェ、モダニズム期)の共通点、類似性を指摘し、当時の近代建築の評価激変させたそうです。

コルビジェとパラディオの共通項を探ることをはじめとして(コルビジェのヴィラがルネサンスヴィラへ参照的であったとしています)、近代建築をそれ以前の建築を比較、評論していくことで、歴史上における近代建築の位置、参照性を問い直していきます。

難解な文章の本なので手こずること間違いなしなんですが、「これ読んでる俺カッケー」状態になれます。

 

カンバセーションズ ヨーロッパ建築家と考える現在と歴史 2015年長谷川豪

③対談集

読みやすさ★★★★★

おすすめ度★★★★★

いきなり最近の書籍に時間が飛びました。「世界的名著!」ではありませんが最近僕の周りでバズった本です。

この本は建築家の長谷川豪さんとヨーロッパの6人の有名建築家との対談集になっていて、各対談にあたっては共通して「いままでにある建築をいかに踏まえ、何を根拠に現代で仕事をしているか」という点に触れられます。

対談されている建築家は以下

Alvaro Siza(アルヴァロ=シザ)

Valerio Olgiati(ヴァレリオ=オルジャティ)

Peter Markli(ピーター=メルクリ)

Anne Lacation&Jean-Philoppe Vssal(アンネ=ラカトン&ジャン=フィリップ・ヴァッサル)

Pascal Flammer(パスカル=フラマー)

Kersten Geers&David Van Severen(ケルステン=ゲールス&ダヴィット=ファン=セーヴェレン)

 

この本の中で最も啓発されるのがヨーロッパと日本の歴史観(建築史観)の在り方に関する話です。

筆者である長谷川は、「西洋の学生、建築家は連続的で積層的な歴史感覚を身体化している」が、日本の現代建築を「近視眼的ポスト史観の上にある」と指摘しています。

つまりどういうことかというと、

西洋では『建築史はある偉大な一個人によってつくられるものではない』という前提を共有していて、その上で歴史主義に閉じこもるでもなく、未来主義に邁進するでもなく過去と未来を同時に耕していく感覚をもって建築を営んでいる。

一方で日本の現代建築は‘‘既存建築や現在の社会状況に対していかに新しいものを打ち出していくか‘‘に主眼が置かれすぎるためにその‘‘乗り越え=ポスト‘‘自体が目的化してしまっていて、いつのまにか「つぎに誰がどんな建築を打ち出すのか?」というイデオロギーに支配されてしまっている。いわゆる新しい建築は往々にして偉大な個人のつくるものなので、日本の建築史観というのは偉大な個人史の総和のようなものとして扱われていて、積層的に醸成していっていない…として批判しているのです。

 

この批判が僕にはものすごくクリティカルなように思えます。

「流行り」という言葉があります。言い換えると「需要」。

タビオカ屋さんにならんでいる長蛇の列はあと何年もつことでしょうか?たぶん2年後とかには新たなスイーツが流行して、タピオカ屋さんはそちらへ転職してたりするのではないでしょうか。本書の指摘する日本の現代建築の「乗り越え」の連鎖というのは、このような流行の移り変わりに似ているように感じます。タピオカ屋さんには失礼なことを言ってしまいすみません。

社会現象がおこって、それにこたえて、また新しいものが流行するくりかえし。これが建築を媒体としてデカい規模で巻き起こっているわけなんですが、問題はスイーツ屋さんは商品を変えれば継続的に利益を得られるのに対して、建築は可変的でないので需要の変化に耐えられず、そうなった場合その建物は建て替えられることです。日本の建築の平均寿命は30年といわれていてこれは先進国の中で非常に短い。1世代で建て替えられた住宅は枚挙にいとまがなく、バブル期に建てられたポストモダン建築はいま次々解体されていっています。

社会状況に反応するわかりやすい建築が支持される風潮があるなかで、‘‘建築は社会状況に過度にリアクティブであるべきでなく、建築の携えるべき時間的スケールを見据えるべきだ‘‘、との思想を西洋の6人の建築家は示します。そのうえで、歴史をなんらかの根拠として/あるいは根拠とせずに、仕事をしていきます。

各建築家の主張も六者六様でおもしろいので、ぜひどうぞ。

 

まとめ

以上、おすすめの本まとめでした。

建築史がちょっとからむような本が多かったのは僕の興味のあるところだからです。

ほんとうに長々と解説しましたが建築関係なく僕の一番いまハマっている本は『かぐや様は告らせたい』です。漫画が大好き。それでは。

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