渋くリアルな雰囲気へパースをレタッチする方法の研究

いきなりですが、たまには静けさの宿る渋い建築もいいと思うんですよね。

基本的に現代のコンペや学生の課題において空間ののびやかさや楽しさが主に競われている気がします。楽しいことは良いことだと思います。

でも僕はひねくれているので、どっちかといえば戦後モダニズムのような静謐さや、ともすれば殺伐とした緊張感の宿る空間に憧れてしまうんですよね。

そんなわけで今回は、渋くてリアルなパースを描くための研究録です。ここでいきなり「リアル」という単語がでてきたのは後で理由を説明します。

 

今日おぼえて帰っていただきたいのはPhotoshopのノイズ加工はすごいぞ、ということ。

 

ちなみに過去の記事において、パースの構図一般についての紹介がされていますのでそちらも参考にどうぞ↓



「渋さ」とは

「渋い」に関してのイメージが大体共有できればOKなのでここはさらっと読み飛ばしてください。笑

私達のかんがえる「渋い」画のイメージがどんなものかというと、こと建築に関して言えばある程度の共通認識のもとにあると思います。(彩度が低い、色調が暗い、寒色調、etc…)

それらのイメージは寺社仏閣などの古建築や、古い建築雑誌でみたモノクロの建築写真、あるいは年季の入った民家や施設に源流があることでしょう。つまり建築の経年変化や古い時代の画像、それをレイアウトした書籍の抱えた時間をひっくるめて「渋い」と表現しています。

渋みの概念とは時間の経過にたいして私たちが感じるもののあわれの感情であり、そこに付き従って静けさがやってくるのではないでしょうか。

 

「渋さ」と「リアル」は同居する

パースのリアルさとは、物理的な矛盾の少ないように感じられる自然さのことでしょう。

さて、単純にレンダリングした画像を少し加工して消失点や光の方向といった根本的な矛盾を解決するのはさほど難しくないことなんですが、レタッチ過程においてよくある「背景と正しく合成はしたのに建築が浮いてしまう問題」…換言すると「リアルさが足りていない問題」を解決するのは至難の業です。

どうしてそういったことが起こってしまうのか、2通りのよくある原因を考えてみました。

 

①明度、彩度、色調などのトーンが背景と合っていない、もしくはその強弱が極端である

②マッピングされた画像の質がよすぎる、清潔すぎる

 

この2パターンがあるあるなのではないでしょうか。

さて、ここからが本記事の本題になっていきます。手っ取り早く言えば、

渋くて静かなパースに加工していけば、平行してリアルな画にしやすくなるよ

というのが今回の記事の内容です。理由は以下。

 

一つ目に、レンダリングした画像と背景のトーンをお互いに動かしつつ理想的な全体のトーンを作っていくのはいってみれば「あちらを立てればこちらが立たず」的な状況を生むわけです。

一方、建築と背景ともに彩度や明度を落とせば、一方のトーンで固定したのち、もう一方のトーンを変化させることで建物と背景が自然に見える具合を探ることにさほど苦労は必要なくなります。やってみたらわかるんですがこれは結構大きな時間差かも。

 

二つ目に、「リアルさ」欠如の大きな原因のもうひとつは建物の経年変化…汚れ、傷、大気に舞う埃やそれを照らす光や生活感といったものがレンダリングしただけの画像には現れないことにあります。部分だけを撮る分には問題ないんですが、茫漠とした背景敷地と合成したときにこの両者がギャップとしてあらわれてしまい、「合成ぽさ」につながってしまう。そんなわけで経年変化や使用感を与えてやることで、渋さとリアルさが両立していくラインを探っていくことが必要になります。

 

実践例

レンダリングした内観に対して背景の画角を合わせた段階での画像です。このままだと普通に気落ち悪いですよね。背景と内部の彩度が調和していない点や、窓の光沢がないあたりに合成感を感じます。そこで、両レイヤーの明度、彩度をすこしだけ落としてみます。全体の色彩に関する違和感はここで緩和されてきます。

埃や汚れ、傷の表現として両レイヤーへすこしだけノイズ加工をしてみます。画面全体をノイズが横断することで、合成境界部分の違和感を緩和するとともに、実際に写真で撮影したような生活感が見え始めます。

この時点でだいたいの全体的な雰囲気がでてくるので、あとは微調節と細部のレタッチに入ります。

・外部のタイル部分と田畑の境界

・タイルの色調

・アルコーブ部分の明るさ

などを修正していきます。

基本的に色調をかえてノイズをいれての繰り返しになります。冒頭でも言ったように「ノイズ加工ってすごいぞ」です。

添景を入れて、最後に画像全体のトーンを再度微調節して終了しました。だいたい1時間半くらいのレタッチでした。

まとめ

僕はプレゼンで白黒図面以外をつかったことがなく、賑やかな図面がこういった空間や写真と壊滅的に合わないことが理由です。半分嘘です。本心はイキりたいだけです。これは貫いていきたいと思います。ポリシー的な。

渋い系の建築やモダニズムの好きな方、同志がいればコメントお待ちしています。それでは。

体系的に学習する

BEAVER STUDYでは、チュートリアル動画を通して各種ソフトの使い方を体系的に学習できます。"新しいソフトを使ってみたい"という方はぜひご利用ください!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です